2017年11月09日

VTS


New York のMoMA(Museum of Modern Art) で当時のMoMAの教育部長だったPhillip Yanawineと、美術的な感覚についての研究のパイオニアでもあるAbigail Housenのリサーチを元に30年前とかに考案されたのが

『Visual Thinking Strategy』(VTS)というメソッド。VTS

ちなみにどちらもボストンにゆかりのある人たち。

最近読んでた本もよく考えるとボストンで学んでだ人が結構いるな。

さすが学びの街。

そして僕の学んでいるガードナー美術館は、当初からこのメソッドの研究をリードしてきている場所だ。現在では小学校から大学まで多くの学校が参加しているプログラムで、医学部の生徒たちなんかも訪れる。

この様々なレベルに合わせて、美術を通しディスカッションをファシリテートするのが、僕もつく予定のMuseum Teacherというポジションだ。

でも、なぜVTSは考案に至ったのか。



昔々 ーーーーーーー

MoMAの館内ツアーなどは美術の知識も多い人たちが案内しているし、満員御礼って感じだし、ビジターからの反応もよく、特に問題視はしていなかった。

ところが。。。!

そこからもう一歩踏み込んで『実際にツアーに参加した人たちは何を覚えているか?』というリサーチをしたところ、ツアーの直後でも

実際はみんなあんまり何も覚えてなかった アウチ

美術品に関して色んな情報を与えられて、なんか満足感もあるし、何かを知ったような気になるが

結局そこに『残るもの』が少なかった。

これじゃやだ。どうにかしようよ。

どうしたら『残る教育』ができるのか。

なもので、色々調査して、研究して、考案されたのがVTSでした。

めでたしめでたし。ーーーーーーーー


簡単にいうとVTSは『美術を通したアクティブラーニングの手法』

深い観察を促し

グループでのコミュニケーションを通してアイディアを広げ

クリエイティブに、クリティカルに、物事を考えられるように習慣づけること

といったような概念がある。

と、僕は理解している。

例えば一つの絵からでもクリエイティブな発想から物語を考えたり、セリフを考えたり、絵の中の登場人物や物の視点から考えて見たり。もしくはアーティストの視点から考えてみたり、技術的なことに疑問をもってみたり、他と比較対象してみたり。

自分の『知識』から歴史的事実と絵の関係性を『つなげて』考察してみたり、自分の『個人的な経験』から『作品と自分自身の繋がり』を見つけ出したり。

作品の中に『見えること』を前提におき、それに『気がつく』ことから『考える』

自分の意見にはそこに見えている『根拠』がある。

そして人に伝わるように自分の意見をまとめることも必要

そのためには『コミュニケーション能力』も必要になる。

こういったCritical Thinking, Creative Thinking, communication, idea sharing など、必要になってくる『考え方』を習慣化させる といったことに繋がる。

なので、『芸術の知識を深める』というのが一番の目的ではない。

VTSの方法自体は至ってシンプルなもので、
『3つの質問』で成り立つ。

ーーー 続く。




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